青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
こっからが胸糞悪い話なんだが、さっきも言ったようにこいつ等は知名度に飢えている不良。
どうしても地元で名を挙げたい。
なんで名を挙げたいか、んなの俺が知るわけねぇが…、奴等はまず力を蓄えるために同盟を結んだ。
それだけじゃ何もならねぇから、名を挙げるためにあるものを利用した。
「それがケイだ。良くも悪くもケイは荒川の舎弟として名が挙がっている。どういうことか分かるか?」
ケイは荒川の舎弟であり片腕、荒川を支えている陰の実力者だと言われている。
これまたずーいぶんと誇大な表現だが不良達の間じゃ一応これで通っている。
本人が聞いたら実力の「じ」もねぇとか嘆くんだろうが。
だが実際、チャリ戦術や土地戦術はケイ中心にやっている。
昔みてぇにケイはクソ地味野郎で済む男じゃなくなっているわけだ。
荒川を打ち負かしたい輩は当然、ケイのことも調べ上げる。
そして気付くんだ。
こいつがチャリ戦術や土地戦術を中心にしているのだと、けど手腕はないんだと。
―――…今、不良の間ではこんな話題で持ちきりだ。
『B.B.B』がかの有名な荒川チームを打ち負かし、最大の相棒の舎弟を打ち取ったってな。
「サトミカズサ。マミヤについては未だに分からない。だがこいつ等がケイを打ち取ったことにより、知名度を上げていることは確かだ。
もう分かるな?
ケイを打ち取った『B.B.B』こそケイの残した“不良狩り”に関与した輩であり、ケイに暴行していた犯人だ」
「そんな、じゃあ。ケイさんは知名度の…っ、それだけのために、あ、あんな…酷いことをされたんですか? 有名になりたい、それだけのために?」
震えるココロの声音とヨウの拳、どちらが早く部屋を満たしただろうか?
壁を叩いたヨウはすくりと立ち上がり、「何処だ」ぎらついた眼をタコ沢に向けて唸り声を上げた。