青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―


翌日。

チョー寝汗が出る悪夢のせいで、いつまでも逃げていちゃ駄目だと思い知らされた俺は学校へ登校することを決めた。


高校は中学と違っていつまでも休めるわけじゃない。

休みすぎたら留年だって当然ありえるし、最悪中退なんてものも目に見えてくる。いやマジで。


どうせ今日は土曜日。

補習日として開校されているこの日だったら午前中には帰れるし、平日に登校するよりマシだと思ったんだ。


まだ大丈夫だとは分かっていつつも(た…多分だけどさ)、出席日数を気にした俺は母さん達に頼み込んで車で学校に登校した。


本当はチャリで登校しようと思ったんだ。

けど車庫に足を運んであらびっくり。

俺の愛チャリがない。
何処を見渡してもない。
お姿も形もない。

なんでチャリがないんだと落ち込んだけど、そういえば里見達に襲われた際、チャリが側にあったことを思い出した。


パンクしていたチャリはきっと里見達の手でポーイされたに違いない。

俺を倉庫にポーイした後、どっかの路上にポーイ。


なんてこったい。


高校のステッカーは貼っていたんだけどな。
盗難届けを出せば見つかるかもしれない。

が、可能性は限りなく薄い気がする。

運よく見つかっても、チャリ自体に損傷がないとも限らないわけでして。


嗚呼、また愛チャリを失ってしまった。

まだ一年も経っていないのに。
 

新しい自転車を買う出費の痛手に涙を呑みつつ、俺は母さんに学校正門側まで送ってもらい、下車してそのまま登校。

あまり無理はしないようにと釘刺してくる母さんと別れて正門を潜った。

緊張をしていなかったといえば嘘になる。

でも、それ以上に何も心には思ってはいなかった。思わないようにしていたというのが正解かもしれない。
 

時間ギリで教室に入った俺はクラスメートから妙な注目を浴びたけど、脇目も振らず自席へ。

幸か不幸か俺の後ろを陣取っているヨウの姿も、いつも前で文庫を読んでいる利二の姿も見受けられなかった。

ヨウは驚くべきところじゃないけど、利二の姿がないなんて珍しい。


なんでいないんだろう?


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