青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
「あの、蓮さん」
「昼飯は? まさかこれ? …うっわっ、アクエリだけ? ないない。もっと精力がつくもんを食わないと。とにかく行こうぜ、ケイ」
尻込みする俺を問答無用でナンパしてくる蓮さん。
こうなればもう流されるしかなくって、俺は流れに身を委ねてナンパされた。
向かう場所は蓮さんお気に入りの店。
なんでも知り合いに教えてもらった美味い店があるらしいんだけど、そこを訪れた俺は呆然とするしかない。
だってそこはたい焼き屋だったから。
病み上がりの俺からしてみれば昼飯にはヘビーだと思われるたい焼き。
んでもって此処は俺が蓮さんに教えたたい焼き屋だったりする。
前に一緒に遊んだ時、色んな味がある店だからって蓮さんと此処のたい焼きを食った記憶があるんだけど。
蓮さんは俺にジャーマンポテト入りのたい焼きを奢ってくれた。
これまたヘビーなものを奢ってくれたと苦笑いするしかない。
文句は言わないよ、文句は。
だけど二個も奢ってくれなくてもなぁ。
絶対食いきれない自信があるって。
訪れたたい焼き屋は出店だから店自体に席はない。
そのため俺と蓮さんは付近にある駅前広場に移動してベンチに腰を下ろした。
たい焼きを大量に買っている蓮さんは全部の味を買ったらしく、早速チーズ入りのたい焼きを頭からがぶり。
豪快な食べ方に微苦笑し、俺も奢ってもらったジャーマンポテトを口に入れる。
たい焼きファンから怒られそうなことに尻尾から齧りついた。
少量を口に含んで咀嚼する俺を一瞥する蓮さんは、「チームに戻れないのか?」声のトーンを努めて明るくしながら質問してくる。
たい焼きを嚥下した俺は、三メートル先にいる鳩を見つめる。丸々太ってる鳩は俺達のたい焼きを虎視眈々狙っているようだ。
目でその食い物を寄越せと主張している。
図々しい鳩だな。
それが何羽いるからなんとも言えない。
鳩への餌付けが禁止されていくのも納得するな。
軽い現実逃避の後、「よく分からないんです」生返事を口にした。