青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
チームに会えばきっと気遣ってくれるだろう。
俺がぶっ倒れていた空白の時間のことも教えてくれるだろう。
事件は俺のせいじゃないと言ってくれるだろう。
でもそれらが全部俺の記憶を刺激する起爆剤なんだ。
発熱している間は考える余裕もないくらい眠っていたし、治りかけの時期に差し掛かっても常に爆睡していたから、向き合う時間がなかった。
それが俺の精神を支えた。
必要以上に恐怖心を思い出さなくていいから。
嗚呼、でもチームに会えばきっと俺は思い出すだろう。
今思い出せない恐怖心も光景も嘲笑も。
その姿を仲間に曝け出したくない。
情けない自分を見られたくないってのもあるけど、何より仲間思いのヨウにそれを見て欲しくはなかった。
罪悪を感じて欲しくなかったんだ。
ヨウの仲間意識の高さは誰よりも知っていると自負している。
畏怖した俺の姿を見れば多大な罪悪を抱いてくるだろう。
それが怖いんだ。
俺の思い出したくない恐怖心を蘇らせてくるようで。
結局、俺は自分が傷付きたくないから逃げているだけなのかもしれない。
かもじゃない。
そうだ、俺は傷付きたくないんだ。弱いから。
重々しく蓮さんに吐露すると、「俺もさ」傷付きたくなかったよ、なんだかんだ言ってやっぱり自分が可愛くてチームに戻ろうと声を掛けられても拒絶してしまった。
蓮さんは俺の気持ちを理解してくれる。
それを踏まえて蓮さんは言葉を重ねた。
「路頭に迷っていたとき、ナンパしてきたお前が教えてくれたんだ。皆に心配掛けるくらいなら、迷惑掛けろって。
心配はいつまでも心配で終わるけど、迷惑ならそれを霧散させる解決法だって見つかる。
自分が許せないなら許せるまで行動した方がいい。
ウッジウジしたって一緒。
ケイ、お前が俺にそう教えてくれたじゃないか」
「…俺が?」
「俺と和彦さんは、まだエリア戦争を引き摺っている。
完全に乗り越えられてはいないし、俺は何かと裏切りを口実に現実逃避。その方が楽なんだ。現実と向き合うよりかはさ」