青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―


こうしてのらりくらりしている間にも、仲間達は“不良狩り”のことで奔走している。だから俺も行かないと。

恐怖心は沢山ある。

でも逃げてばかりじゃ何もならない。


どうせ恐怖するならチームと顔を合わせてから怯えることにしよう。


会いたくない気持ちはあるけど、戻りたい気持ちの方はそれ以上。

行かなきゃ。


怖くても、迷惑を掛けても、傷付くと分かっていても、足踏みするだけ時間の無駄だ。


「今度は俺からナンパさせて下さいね。蓮さん」

「ああ。またな、ケイ。今度はゆっくり俺とお茶してくれよ。送っていかなくて大丈夫か?」

「大丈夫です」


本当なら此処でひとつなんかノるところなんだけど、今は無理しない。これが今の俺だ。

またナンパしてやるから、おどける蓮さんに笑って俺は彼と別れる。


「あいつに仇討ち戦のことは言わなかったけど」


ま、いっか。
蓮さんの独り言は微風の弱さからか、俺の鼓膜には届かなかった。


居ても立ってもいられなかったんだ。

なにか行動を起こさないと、急かす気持ちが俺を動かしていた。

いつまでもグズグズウジウジしても一緒。だからまずはチームに会って来い。


そう誰かに背中を蹴られたかったんだ、俺は。

一押しが欲しかったんだよ。

前橋の言うように不良とつるんだせいで、俺の人生は怪我ばっかだよ。


バタンキューも多々さ。

喧嘩なんて日常茶飯事、弱いから利用されることも多い。
 

でも俺はあいつ等を選びたい。

成り行きでヨウが俺を選んだかもしれないけど、今は俺があいつ等を選びたいんだ。

人生がめちゃくちゃ?

おうおう、破天荒な毎日で騒がしいよ。


馬鹿騒ぎする毎日が楽しくてしょうがないよ。

あの時間が俺の居場所なんだよ。


社会視点なんて知らないっつーの。

人生とか進路とか、そりゃ大事だけど、この瞬間は“今”しかないから。
 
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