青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―


まずはメールの確認からだよな。

メール、めーるの…と、俺は弾かれたように顔を上げる。

外から声が聞こえた。

ヨウ達じゃないのは確かだ。


じゃあ一体っ…、耳を澄ませていた俺は聞き覚えのある声に目の前が真っ暗になった。
 

竦む足に叱咤して窓に駆け寄った俺は、壊れかけの窓枠を飛び越えてその場に座り込む。

そこは俺がいつもチャリをとめている場所で、今は木材の束しかない。

必死に息を殺して俺は中に入って来た奴等を窓から窺う。

悲鳴を上げたくなった。


倉庫に入って来たのはあろうことか、俺を拉致した張本人。里見上総。間宮も一緒にいるし、他にも人いるけど数を把握するまでの余裕はない。


視線を戻し、なんであいつ等が此処にいるんだと俺は身を震わせる。

此処は荒川チームのたむろ場で有名だぞ。
なんでっ、なんで此処に…、そ、そうだ。ヨウに連絡っ…。

俺は静かに携帯を開いた。

新着メールが三十件を超えている驚きもあったけど、一々それを確かめる暇はない。

たむろ場に里見上総がいるって連絡しなきゃ。

俺の生徒手帳を受け取ってくれたヨウ達は既にそいつが敵ってことを知ってくれている筈だから。
 

震える指で短文を打って送信する。
 

俺が偽者だってまた思われなきゃいいけど。

不安を胸に抱いているとすぐに返信が来た。中身を確認した俺は安心、ではなく絶句。


送信したメールが戻って来たんだ。

え、なんで?
俺、ちゃんとヨウに…、まさかあいつ、メアド変えたのか?

じゃ、じゃあ別の奴。

アドレス帳を開いて…、あいうえお順でいけば利二。

バイト先にいなかったし、学校をサボったんだ。


ヨウ達の側にいる可能性は大だ。藁にも縋る思いでメールを送信する。


けど結果は同じだった。

めげずに副リーダー。モトやキヨタ、ワタルさんに響子さん、ココロ、ハジメ、弥生、タコ沢。メンバー全員にメールを送ってみたけど結果は変わらず。

俺はめげてしまった。
 
 
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