青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
呼吸さえ忘れ俺は開きっぱなしの携帯を見つめる。
ヨウ達とはメールが繋がらない。
電話したいけど電話できる状況じゃない。
あ、あれ、他にメールを送る手段があったような…、なんだっけ。
嗚呼、どうすればいい。俺はどうすれば。
どうか見つかりませんように。祈る気持ちを抱いて俺は膝を抱える。
会話のやり取りは延々聞こえてくるんだけど、ちっとも頭には入らない。
その内、会話が消え、気配も消える。立ち去ったらしい。
それでも俺はその場から動けずにいる。
蓮さんから貰った勇気が消散してしまった。
向かい合いたくなかった恐怖心と吐き気ばかりが込み上げてくる。
弱いから利用される。荒川の舎弟だから利用される。中途半端に不良しているから目を付けられる。
またあいつ等の思うように動かされてしまう。
嗚呼、癪だぜ畜生。
どうしても止められない震えを止めたくって俺は懇願しながら携帯を操作した。
メアド変更のメールが届いていないかな。お願いだから誰かと繋がっていたい…、届かないメールが縁を切られたように思えて仕方がないんだ。
だ、大丈夫だよな。
俺、利用されてばっかだから見切られてサヨウナラ…、なんて。
ネガティブ被害妄想を振り払いながら新着メール一覧に目を通す。
「あ」俺は声を漏らした。
メアド変更らしきメールは一通も来ていなかったけど、新着メールの大半がひとりの人物で占められていることに気付く。
俺は一番新しいメールを開封した。
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From:山田健太
件名:無題
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圭太、約束だからな
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―――…。
自然と涙腺が緩んだ。
たった一文。
それだけで俺の心は救われた気がした。
メールを返信しようとした俺は、操作を誤って引用付き返信のまま相手にメールを送ってしまう。まだなにも文を打っていないのに。
慌てて新規メールを作るんだけど、携帯が震えたからその動作は止まってしまう。
着信だ。
表記された名前に安堵感を覚え、ボタンを押して電話に出る。
俺が何か言う前に向こうが切り出した。