青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
「おれも未だにストーカーに愛されているような気がしてキョドるぞ? 結構時間も経ったのに。フツーだって」
寧ろ圭太が目撃したっていう黒幕の里見上総に向かって『あの時はよくもやったな! 今度は俺がリンチしてやるんだぜ!』とか言い出してひとりで突っ込んだ方が、おれはすこぶる心配するぞ。
ナニこの子、フルボッコされ過ぎて頭が弱くなっちゃったの?! ってな具合にな。
「だからほんとお前がたむろ場でガタブルしてくれて良かった。何もなくて良かったよ。安心した」
心配してくれているのか、揶揄してきてくれているのか、判断をしかねる際どい台詞を紡いで健太は綻ぶ。
きっと前者なんだろう。
俺は力なく笑ってティッシュをクシャクシャと丸める。
前みたいにノリは返せない。
というか、なにも思いつかない。なんかノリたいのに。
半分くらいホットミルクを飲んだ後、俺は右腕を軽く擦った。
暴行で傷付けられた痛みが腕中を走る。
この痛みと向き合わなきゃいけないと思うと、めっちゃ病むなぁ。
気持ち的には逃げ出したいかんじ。
矛盾してるよな、蓮さんとの会話で決意した気持ちは何処へ行ったやら。
惨めな気持ちに対して溜息をつく。
「んー、お前パンクしてるんじゃね?」
ふと健太が指摘してくる。
「パンク?」擦る手を止めてしまった。
「話を聞いて思ったんだけどさ。圭太は自分の許容を把握しないで、気持ちに踏ん切りつけなきゃいけない。仲間の下に戻らなきゃいけない。前を向かなきゃいけない。
あれもしなきゃいけない。これもしなきゃいけない。何でもかんでもいっぺんに背負うとしている。そう思えて仕方がないよ」