青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
あくまでおれの憶測だけど。
圭太は心のどっかで大きな罪悪を抱いている。
お前ってわりと負けず嫌いだから、きっと里見に利用されたことが腹立たしくてしょうがなかったんだろうな。
同時にチームに対して罪悪を抱いている。
おれもストーカーの件でチームに迷惑かけたから気持ちは凄く分かるよ。
罪悪を抱いている圭太はとにかく前を向こう向こうと思うわけだ。迷惑を掛けたのはしゃーない。
じゃあ徐々にでも本調子になろう。
そのためには仲間の下に帰ろう。
荒川の舎弟なんだし、皆は不良狩りと奔走しているんだ。戻らなきゃ!
ポジティブ圭太は俄然やる気なんだけど、そこで邪魔立てが入る。
ネガティブ圭太だ。
大きな恐怖を味わったことを憶えているネガティブ圭太はちょっと待ってくれコールを掛けてくる。
もう少しだけ気持ちの整理をしたい。
だってあんな怖い思いしたんだから! って必死に止めるわけだ。
相反している二つの感情が反発したらどうなるか?
本体のお前はどうすりゃいいか分からなくなってお手上げ状態になるわけだ。
きっとお前はいつまでもグズグズウジウジしても一緒、じゃあ行動を起こさないといけない。
避けていたチームに会おう。
そう前向きに思っていたんだろうけど、今までそれで通してきたんだろうけど。
「でも今回ばっかしは通用しなかった。自分で思っている以上に恐怖した心が邪魔してくるから。圭太、自分が頑張んなきゃ。とかどっかで思ってるんじゃね?」
だったらその自分“が”って気持ちを捨てないと、パンクしたままだぞ。
冷たい言い方をするつもりじゃないけど、荒川チームはお前抜きでも今は大丈夫だ。少し前に一緒に喧嘩したんだけど、戦力は衰えなかったし。
つまりなにが言いたいかっていうと、まずは落ち着いて自分と向き合う時間を持てってことだ。
そりゃあ今の圭太はいつもの圭太じゃないさ。でもそれも圭太だってことでいいじゃん。
頑張らなくたっていいじゃんかよ。
チームが今、動いているんだし、お前はお前で負傷しているんだし。
それでも頑張ろうとするとか、お前はどんだけ働きマンだよ。
日本人の気質らしいぞ、その働こうとする生真面目な性格!