青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
「おれはお前が心の整理をしっかりつけて、自分で納得するまでチームと会わなくたっていいと思っているんだ。
それこそ焦って戻らなくたっていいとおれは思うね。最優先に自分を大事にしろって言うよ、おれは」
蓮さんとはまったく異なった意見だ。
目を丸くする俺に、「だってチームはチーム」お前はお前じゃん、おれは荒川チームの味方じゃないもんでね。健太はおどけてみせた。
「お前が無理っつーなら、よし無理するな! っておれは言うし。お前が無理しても頑張る! って言うなら、いや待て自分大事にしろって止める。
そういうもんだよ、おれの中の荒川チームって。天秤に掛けたら真っ先にお前を取るって。お前がおれにしてくれたように。
なんっつーか、まだお前が頑張るには早過ぎるんじゃないか?」
もしチームに戻りたいと思うなら、せめて自分“が”頑張るって気持ちを全部捨てることだよ。
なんでもかんでも器用にこなせるお前じゃないだろ?
片や事件に恐怖でガタブル、片や前向き思考がむばる、いやいや疲労するだろ。それ。
「物事を背負い“過ぎ”ているのかもしれないな、お前」
つらつらと羅列された台詞に俺は瞬きして、その台詞を反芻する。
背負いすぎている、か。
いつぞか舎兄に言った言葉が俺に返ってくるなんて思わなかった。
健太の言うとおり、俺は自分が荒川の舎弟だから。村井の舎兄だから。チームメートだから。今回の事件の渦中だから。
そうやって自分に“だから”を課して、頑張ろうがんばろうとしていた気がする。
なによりヨウに戻ると約束したからな。
焦っていたのかもしれない。
「おれも圭太も、元々おとなしい類の男子じゃんか? ヤンチャじゃないから、喧嘩ってのがどーも苦手なんだよきっと。
お互いに事件に巻き込まれてさ…、マジ不運っつーか。
本音言ってみろよ。
今、ちょっとだけ不良の世界に入っていることに嫌悪しているだろ?」
「…いや…、べつに」
「ここにはおれだけだって」
言ってもいいんだぞ、誰に気遣うわけでもないんだし。
健太はそう笑声を漏らすと、自分だって少しだけ日賀野チームに属していることを恐怖したと吐露してくれる。
こうやってこれからも弱者は狙われるのかと思うと、恐怖も恐怖だと健太。
「でも」仲間といるのが楽しいから、どーしょうもないんだよな、と苦笑した。