青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
此処なら薄暗いし車も多く停められているから身を隠せる。
俺はワゴンタイプの車の陰に隠れてジベタリング。
極力弾んだ息を殺して身を潜める。
で、ちょっち落ち着いた頃に自己嫌悪するわけだ。
なんでヨウから逃げちまうんだよ、俺。
追々困るようなことばっかしてからくさっ、調子ノリは臆病者だったのか?
だったらこれからは臆病な圭太くんで通すぞ!
……はぁあ、阿呆だ俺。
ほんっと馬鹿した。
胃が痛むような念を噛み締めていると、ピピピッ! と携帯が鳴り始めた。
着信だ。
マナーモードにしてなかったせいで薄暗いマンションの駐車場に音が響き渡る。
相手を見ず慌てて携帯を切るんだけど、「こっちか」舎兄の独り言により硬直。ついでに頭が再び銀世界なんだぜべいべ。
い、い、い、今のはヨウからだったのか。
ヨウの奴。俺の体じゃ全力疾走できないと思って、どっかに身を隠していると電話を掛けたんだ。
なんてこったい。
舎兄から頭脳プレイで負けちまうなんて!
どうする、どうすればいい。
車から車に移動してもいいけど、絶対に見つからないって保障もないし。
足音が駐車場に響き渡り始めたっ!
ウワアァアアアっ、似非ホラー!
ゾンビならぬイケメン不良から追われるなんて!
……あれ…、俺って意外と美味しい役どころじゃ。
だってイケメンに追われているんだぞ?
不良ってオプションはついているけどおにゃのこなら喜ばしい展開じゃ。
イケメンスキーの女子の皆さんが体感したいであろう似非ホラーを経験しているなんて、俺も幸せ者だな。
……いやいや馬鹿を思っている場合じゃない。
「ケイ、いるか? いるよな?」
いえいえ、いません。
田山は不在です。
此処におりません。
薄暗い駐車場に響くイケメン不良の声音に心中で返し、俺は動くこともできずただ息を潜める。