青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―

 



【五丁目某番地
 コンビニ跡地付近路地裏】
 
 
 
到着時間を二十分と目測していたけれど、予定時刻よりも十分ロスして俺は仲間とそこに到着する。

その路地裏はやけに静まり返り、大通りを走っている筈の自動車の音がまるで聞こえない。

まるでこの路地裏だけ隔離されているようだ。

錆びたフェンスの扉を通り過ぎて行き止まりに辿り着いたヨウは、「あそこに」ケイがいたと壁側を指差す。

あの壁の側で横たわっていた。

ヨウの硬い声音が説明をしてくれる。


で、皆が俺に注目するわけだけど、本人は腕を組んで首を捻るばかりだ。

見覚えないなぁ、此処一帯。


「こんなところに連れ込まれた記憶、これっぽっちもないや。本当に俺、此処にいたのか?」

「ああ。それは間違いねぇ。ほらあそこ。雨樋パイプに手錠がついてるだろ? ケイと繋がっていた手錠の残骸だ」


俺は雨樋パイプに目を向ける。

あ、本当に手錠が掛けられている。
ということはあそこで俺は繋がっていたというわけか。

けどなぁ、ゼンッゼンこの辺りは見覚えがないんだよな。

路地裏になんて、わぁお二日間素敵監禁生活には一度も足を踏み入れていないし。

何より倉庫がない。
俺は倉庫にいたんだけどな。

わりと広い倉庫だったんだけど。

 
「此処と大通りは一本道。ということは、必ず大通りを通らないといけなかったと思うんだけど…、負傷している俺を此処まで運ぶって結構手間だと思うんだよな。車で運んだわけでもあるまいし。それに人目もあっただろうに」
 
「人目はどうとでも誤魔化せるっしょ。
例えば、僕ちゃんがそこのモトちゃんをおぶっていたとする。モトちゃんは負傷していて、僕ちゃんはそれをおぶって大通りを歩く。しかもわりかし速足で。そしたら通行人のキヨタちゃんなら、どう思う?」


「えーっと、怪我してるしおんぶしてるから…、病院に急いでいるんじゃないかと」


「だしょ? あの日は雨が降っていたわけだし夕暮れ過ぎだった。視界も悪いし、怪我人と一緒に傘を差していれば、傘でおんぶしている人は見えにくい。
それに通行人もよっぽどの暇人じゃない限り、その怪我人達を目で追うなんてことしないっしょ」

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