青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
……、そうか、皆、英語はできないのか。
俺もできた方じゃないけど、俺以下が三人もいるのか。
あの英文、中学生レベルなのに。
ヨウ、お前は洋楽スキーでよく聴くじゃんか。
なんで英文が読めないんだよ。
soonをそーんと皆が皆、読んじゃってからにもう。
絶句している俺に、「馬鹿だな」モトがやれやれと溜息をついた。
俺にも味方がいるようだ。
「だよなぁ」同調すると、モトが三人に意見した。
「それはきっと倉庫の在り処じゃなく、里見等のたむろ場を示しているんですって!
そーんはきっと、損って意味…、そうこれを解読したらオレ達は損する。
だから解読してみろって里見等は挑発しているんです!」
ホーホケキョ。
俺の中の唖然ウグイスくんが鳴いた。
三人がなるほどと手を叩く中、んでもってモトが得意げな顔をする一方、俺は路地裏の隅っこでシクシクと涙を流す。
どいつもこいつも阿呆ばっか。
完全に探偵気取りじゃんかよ、皆。
落書きのメッセージをハジメに送るって?
あいつもきっと頭を抱えるだけだろうよ(ハジメ「馬鹿ばっかりだ!」)。
はぁあ、ヨウ達って学校の勉強はてんで駄目なこと、すっかり忘れていた。
なんでこいつ等、受験をパスできたんだろう。
不思議でならないや。
一応俺の通っている高校は私立だけど、偏差値は55前後。
まあまあな偏差値なのに、それをクリアーできたあいつ等って一体。
不思議だ。
七不思議だぜ、マジで。
誰か俺の疑問を解消してくれる探偵はいないだろうか?
「先が思いやられる」
俺はガックシと肩を落とした。
勿論、英文にたむろ場やら倉庫の場所を指し示すヒントもクソもなかったのは言うまでもない。
気を取り直し、俺は自分のいた倉庫の風景を思い出そうと試みる。
幸いなことに勉強熱心のキヨタがいつも地図を持参しているから、記憶を照らし合わせることは可能だ。
俺達は路地裏でジベタリングをして、開いている地図を眺める。
キヨタの地図には沢山の印が書き込まれていた。
これは俺を探す際、目印としてつけたもので、可能性がある場所は徹底的に丸印がついている。