青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―

 
「扉が壊れたわけじゃなさそうっス。微かにですけど扉は動きますし。多分、外側から…、何か物が置いてあるのではないかと」

「おいおいおい。マジかよ。それってつまり」

「リーダーの思ったとおり! 僕ちん達、閉じ込められちゃったっぽーん! あっはーん、どーしましょん」
 
  
と、と、と、閉じ込められた?!

愕然とする俺とヨウにお手上げでーすとワタルさんがニタニタの困り顔で笑う。

いや笑い事じゃないでしょーよ。


なんで俺達が閉じ込められないとっ、う、嘘だろっ。

不法侵入したから天罰が当たったとか?!

よりにもよってわぁお素敵監禁生活の舞台となったこの倉庫に閉じ込められるなんてっ、閉じ込められるなんてっ、どんなお笑い話だよ!


見る見る青褪める俺は激しく動揺するんだけど、リーダーは至って冷静で、

「本当に開かないのか?」

とワタルさんに質問する。

押しても引いても無理だとワタルさん。
彼もまた超冷静で、駄目だから仲間を呼ぶかと案を出していた。
 

「そうだな。シズに連絡を取るか。モト、頼めるか?」

「あ、はい。可能です」


素早く携帯を取り出すモトはシズに連絡を取り始める。

授業に出ているらしく、副リーダーは電話には出なかった。


だったらメール、じゃなくブログで記事をアップするまでだとモトは状況を説明する記事を書き始める。

これで夕暮れまでに助けは来るだろうとヨウは一笑。

それまでのんびり待ちましょうとキヨタは元気よく俺達の下に歩んできた。


な、なんか、皆。頼もしい!
ちょ、皆に惚れていいか!
ヘタレていた俺がいるからこそ、皆、かっけー!

俺、全員に愛をプレゼントしてもいいぞ!

いっちゃんの愛はココロに向いているけど、友愛なら皆に配布できる!


頼りになる皆の姿のおかげで、俺もなんとか平常心を取り戻すことができた。

一人よりも二人、二人よりも三人だよな、皆がいると安心だ。


しかしなんでこんな事態に……、入る時は出入り口付近に何もなかったのに。

倉庫に入って自然に扉が閉まり、外側から物が置かれる…、なんてこと起こりっこないだろう。

きっとつけられていたんだ。可能性があるのは“不良狩り”関連の面子だろうけど、此処でジタバタ騒いでも一緒だろう。

もしつけられているプラス、何かを嗾(けしか)けられるなら話は別だけど。


あばばっ、も、も、もしや素敵監禁生活第二弾とか?!


そ、想像しただけで胃が痛くなってきた。

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