青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
「貴方は恐怖心と向き合おうとしている。
取り乱すと分かっていたんでしょ? なのにケイさんは倉庫を探そうとした。俺っち達と一緒に。その姿は勇ましいッス」
「大袈裟だな。俺は別に…」
「ケイさんが打ち勝とうと努力している。それは誰もが知っているっス。貴方と一緒に倉庫を探したヨウさんもワタルさんもモトも…、俺っちも。
でも一辺に解決できる筈もない。
それも貴方を含めた誰もが知っているっス。
んー、なんか上手く言えないっスけど、ケイさん、もっとカッコ悪くなっても良いと思いますッス。あんまりカッコ悪い姿を見たことないっス」
だって普段がカッコイイんっスから。
誰にだってできる、できないことってあると思いますっス。ケイさんが今、普段の気持ちになれないっていうなら、それはそれでしょーがない。
だからその分、俺っちがカッコつけたいと思いますッス。
カッコ悪いケイさんも俺にとっては大事な兄貴なんっスから。
うーん、言葉にするのって難しいッスね。言いたいことが上手く表現できないや。
でも一つ、貴方にハッキリと伝えられる。
ケイさん。もっと俺っち達に感情をぶつけて良いと思います。さっきみたい。
そしたらきっとヨウさん…、いえ今度は俺っちが貴方を受け止めますから。
俺っちにもっと背中を預けて下さいよ、兄貴。
俺っちは貴方みたいに土地勘があるわけじゃない。
チャリのテクニックがあるわけでもない。
けれど貴方の腕にはなれます。
貴方が手腕にコンプレックスを持っているなら、俺っちの全力を持ってカバーする。
俺っちはヨウさんの代わりにはなれない。
代わりじゃない、俺っちなりに貴方の腕になれる。その力は持っていると自負しているから。自信を持とうって決めたから。
「そう思えるようになったのはケイさんのおかげなんっス。ケイさんが俺っちを必要としてくれたから。
ケイさんは弱い人間じゃないっス。誰より貴方の背中を見ている、俺っちが言うんっスから」
―――…。
参ったな、もう十二分にカッコ悪い俺がいるよ。
お前がイケメソに見えて仕方がない。俺、ノットイケメソじゃん。
力なく笑うと、ニッと笑顔を零す舎弟がそこにいた。
不思議とそれだけでさっきは感じられなかった、心のぬくもりを感じる。
なんでだろうな。
キヨタの言葉によって弱い自分を受け入れようとする、潔い俺がいる。
これは諦めじゃない。
もっと別の感情が宿った気持ちが確かに胸を占めているんだ。