青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
「俺は明日にでも後悔するだろうな。お前に情けない姿を見せたこと、いや現在進行形で見せていることに。モトにだけは絶対見せたくない姿だったよ」
「なんで?」腕を組んでぶっきら棒に問い掛けるモトに、「お前なら」分かってくれるだろ? 俺は目尻を和らげる。
だって俺達は仲間と同時に良き好敵手(ライバル)なんだから。
ま、最初は一方的にお前が俺を敵視していたみたいだけど、今は認めるさ。
お前と俺は好敵手だって。
だから後悔するさ。
後輩に情けない姿を見せてしまったことに。
「立ち直ることができたなら」
また俺は荒川の舎弟としてカッコつけようと思う。
それこそ荒川の弟分以上に。
「ま、塞ぎ込んだままかもしれないけど。これでも俺のハートは繊細だから」
俺の卑屈にも、嘘付けのヒトコトで即答。モトに返されてしまった。
ひっでぇな。調子ノリは調子には乗るけど激繊細なんだぞ? マジだぞ? ほんとだぞ?
……半分嘘だけど!
神経図太くしていかないと不良の舎弟なんてやってられっか!
「ケイがそんなタマかよ。アンタはこのままじゃ終わらないだろ? だってオレの認めた、好敵手なんだから。アンタはこのままじゃ終わらない。断言できる。
いいか、アンタが本調子じゃなくてもチームは困らない。でもアンタがいないとチームは困る。オレもその一人だバーカ」
後輩と視線がぶつかる。
微かに頬を崩すモトに、ちぇっと舌打ちを鳴らして頭部を掻いた。
そうやって期待されると動かざるを得ないじゃないか。
立ち直るしかないじゃないか。まったく…、モトは俺を過大評価してくれる。
「立ち直れなかった一つのプランとしてヒッキーになろうと考えていたのに」
そしたら舎弟って肩書きに休職届を出して、ゲームを大量に買い込んで、連日連夜ゲーム漬けを目論んでいた。
おざなりの嘘ぱっちにモトは軽く笑みを零し、「無理だね」と肩を竦めた。
ケイは情に熱いから、とこれまた過大評価してくれる発言に俺はわざとらしく溜息をついてみせる。
そして視線を交わらせた俺達は静かに笑声を零した。その場で考えたヒッキー計画は無理のようだ。