青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―


ほんっと参ったことに連日のように恐怖心が込み上げてくるんだ。
 
どうしてあの時、僕がこんな目に遭わないといけなかったのか?

痛いどころじゃない、自分の無力さを見せ付けられた!


非力だったから輩に利用されそうになるし、チームに迷惑を掛けてしまったし、挙句離脱の道を歩んでしまうなんて。


不本意とはいえ僕はもう、チームに戻らない方がいいんじゃないかと考えたよ。

頭はあっても、結局それだけ。

手腕が無いとこうして輩の目に付けられる。


仮に僕が戻ったとしても何ができる?

暴力を振るわれないかと怯える僕がいるだろうし、また繰り返すんじゃないか? それどころかまた暴行されるんじゃ!


そうして繰り返していく内に仲間達から白眼視されるんじゃ…、チームに居場所なくなるんじゃ…、だったら僕は此処で身を引いた方が良い。  


捻くれは毎日のように卑屈なことばかりを考えていたんだ。

加えて親が転校しろだの、不良とは一切縁を切れだの、外野がとやかく言うもんだから卑屈に拍車が掛かってね。

考えることに匙を投げた日もあった。
 

でもある日、僕は祖父母と会話を設ける機会を得た。

祖父母はいつだって僕の味方でさ。

両親が勝手に病院を変えてしまったことに、お友達は心配しているんじゃないか? お友達はどういう人達なのか? 貴方にとってお友達の存在は何? って質問されたんだ。


勿論大事な奴等だって答えたよ。

恐怖心に蝕まれても、あのチームは僕にとって大事な居場所。胸張って紹介できる友達だって。


自分で口にした時、僕は気付いた。


あいつ等は僕の大事な友達だって。


きっとチームは僕の仇を取ってくれようとしている。

どいつもこいつも馬鹿みたいに情の熱い奴等だから、今頃奔走してくれるに違いない。


けど奔走している途中にまた何か遭ったら?

それこそ第二の僕のように犠牲者が出たら。


そう思ったら居ても立ってもいられなくなった。


戻ってくる間、恐怖心はあったけど、いや今でも思い出せば恐怖心は込み上げるけど。

僕は結論付けたんだ。僕のように他の仲間が犠牲になって欲しくない。って。


手腕はどうにもならない。無いものは無い。
 

だけど僕なりにできることがあるんじゃないか?


それこそ捻くれの知恵を捻って、仲間を救済することだって。

意外と人は単純でさ。
自分に何ができて、何ができないのか、客観的に分析して納得。

受け入れた時、なんだか強くなった気がするんだ。未熟な部分を受け入れることもまた強くなるひとつのターニングポイントだったりするのかもね。

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