青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―


「荒川さんがブサイクと言うのならば、それ以下の男子は一体何者になるのか。
それこそ矢島さんの舎弟達も自分達もブサイクという類に入るでしょう。

嗚呼、劣等感。
いやしかし、荒川さんや矢島さんの美形イケメンを引き立たせる役目を担っているというのならば、それもまた運命だと思って喜んで受け入れましょう。

荒川さん、安心して顔に自信を持って下さい。
貴方と自分達を比べれば、そうですね…、例えるならば宝石と漬物石ほどの差がありますので。

あ、勿論リーダーシップも尊敬しています。荒川さんサイコー」


真顔真面目に、そして平坦に紡がれる台詞。

目を点にする俺等に、「ほらみろ」シラけたじゃないかと利二が憮然と溜息をついた。

いやそれ以前の問題だと思う。

「漬物石か」

俺はハッキリ言われるとショックが大きいかもしれない。

そうか、漬物石か。
俺、まさかの漬物石なのか。

いいじゃないか、漬物を美味くするために日々頑張ってるじゃん。

……、せめてパワーストーンくらいのレベルは欲しかったなぁ!

胸を押えてずーんっと落ち込む俺と同じように、「漬物石か」「漬物石なのか」谷と川瀬がぼやきを口にした。


「漬物石だってよ。いやでもあんちゃんが宝石ならしゃーないよな。千草」


「だなぁ。けど漬物石…、現実の厳しさを見せ付けられた気分っ。
アンちゃんが宝石なら漬物石はより宝石を魅力的に魅せるためっ…、なんか自虐乙な気がしてきた!

そうだよ、俺達は漬物石だよ! 漬けてナンボの人生だ!」


「田山。落ち込むことはない。自分達のような漬物石は沢山いる」

「そうだな。そうだよな、利二。宝石ってのは貴重で希少だから価値を付けられる。漬物石の方が比率でかいよな!」


思いのほか、利二の発言は効果てきめんだったようだ。

威力はそうだな…、普通顔限定の“バルス”と言ったところか。

滅びの無差別呪文を唱えられた気分。ははっ…、ラピュータを探したくなってきたよ、俺。

ラピュータを見つければ飛行石までレベルアップできるだろうか?


重々しく溜息をつく俺達に、「い…いや」自信持てよ、とヨウ。

「お、お前等だって」素敵な男だぞ、と矢島。


微妙に慰められた、が、気分はうっるせぇええよてんやんでい畜生! である。
 
イケメンや美形に言われたって嫌味かコラァ! 一昨日きやがれバカヤロウなんだぞ阿呆!

よーく聞け、いっつも女子に黄色い悲鳴を上げられている全国のイケメン美形と属された野郎共!

お前等は俺達普通くんがいて輝けるんだからな!
常々俺等に感謝しとけよバァアアカ!
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