青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
「なんか楽しくなってきたマンボー! 僕ちゃん、お披露目で一曲歌っちゃおうかなぁあ!」
「……、はぁあ。貴様等はどーしてそう騒がしいんだゴラァ。話し合わないなら俺は帰るぞ」
「まったまたぁ。タコちゃーんもはしゃぎたいくせに!」
「俺は谷沢ダァアア!」
貴様ぶっ飛ばすぞ! ワタルさん相手にも臆せず、胸倉を掴んでがっくんがっくん揺すっているタコ沢は勇者だと思う。
んでもって相手の怒りを買ってもゲッラゲラ笑っているワタルさんはもはや英雄だろう。
ちっとも臆せず相手を指差して、「照れるなんて」カワユイ! と腹を抱えて笑っているんだから。
騒ぎもほどほどに、話は“不良狩り”に入る。
“不良狩り”をしている里見達と矢島が繋がりを持っていると偶然にも知ってしまったけれど、はてさてこれからどうすべきか。
いや偶然知ったことなのだろうか?
倉庫で閉じ込められた記憶を思い出す俺は、あの時誰が俺達を閉じ込めたんだろうと疑念を口にする。
「さあな」
ヨウは肩を竦めた。
閉じ込められたおかげさまで、里見達の話を盗み聞くことができたけど、結局閉じ込めた犯人は分からず仕舞い。
安易に行動できたもんじゃない。
「他校に仲間がいるとこういった場合の集会が面倒だよな。シズ達にも話を聞いてもらいてぇんだが」
「でも他校に仲間がいるからこその動きもできる。仮に矢島が監視者なら、彼の目を掻い潜れるのはシズ。響子。ココロの三人だよ。ヨウ」
ハジメの意見もご尤も。
ただし矢島以外の刺客がシズ達の学校にいないとも限らないよな。
うーん、やり難いぞ。監視者がいるってのも。
「確か」ヤマトの学校にも刺客がいるって言ってたね、ハジメの問い掛けに俺は視線をキヨタに流す。
「あ。はい」
生徒手帳を開き、メモした内容を読み上げるキヨタは確かに向こうにも刺客がいると頷いた。
「シュン。つまり矢島が俺っち達の学校で、エリマって奴が日賀野の学校に潜んでいるらしいッス。
こっちは口調からしてギャルっぽい女みたいでしたけど…、なにぶん姿を目にしていませんし」
「なるほどね。これ、ヤマトに伝えておくのも手じゃないかな? リーダー。
……って、そんなあからさま嫌って顔しないでさ。別に手を組むわけじゃないんだし」