青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―


「利二は俺の味方だよな!」


だって俺とお前はその昔、恐い思いをした仲なんだぜ!
利二なんて腹部に蹴りを食らった苦い記憶があるんだぜ!

俺が嫌がる理由も分かってくれるだろ!
 
泣きつく俺に同情を見せてくれる利二だけど、誰かが交渉をしないといけないならやらざるを得ないのではないかと吐息をつく。
 

ががーん。

愛しの利二に裏切られた!
おまっ…、薄情者だって分かっていたけど、こういう時はいつだって味方になってくれたじゃないか! 酷いぜ、利二!

大ショックを受けている俺を余所に、

「じゃあ僕ちゃーんが交渉するっぴ!」

ワタルさんが片手を大きく挙げた。

途端にヨウとハジメが却下をくだす。

ワタルさんが交渉を持ちかけたら、成り行きで喧嘩の流れに持ち込まれそうだ。
主に魚住関連で。

「ケイ。頼むよ」

電話交渉でいいから、両手を合わせてくるハジメは健太を通して日賀野に連絡を入れて欲しいと頼み込んでくる。

俺は唸った。
健太を通さずとも、あいつに直接電話を掛けられないこともない。

だって俺は無理やり連絡先を交換したんだし。

だけどなぁ…、俺はあいつがすこぶる苦手なんだよ。
俺が交渉を持ちかけてみろよ。何を言われるか。

「しょうがないな」

じゃあヨウが交渉を持ちかけてくれないかい? ハジメは他の提案を口にした。
 

「ある意味、一番ヤマトと親しいヨウが『交渉したいんでお願いします』って頭を下げれば、きっと向こうも面白がって交渉に乗ってくれると思うんだけど」

「い、嫌に決まってるだろうが!
お、俺があのハイエナにっ、ハイエナなんぞにっ、頭を下げるだと?! 却下も却下だ! あいつに頭を下げるっ…、なんで自分から黒歴史を作らないといけねぇんだよ!
……なあケイ。此処は一つ、頼まれてくれよ。舎兄命令だ。な? 後でなんか奢ってやるから」


なあにが舎兄命令だよ。

こいつ、我が身可愛さに俺を売りやがったな。


眉根をつり上げる俺だったけど、こうして愚図ったって解放しちゃくれないだろう。

弁当を机上に置くとさっさ携帯を取り出して、「で?」なんて交渉すればいいんだと低い声で尋ねた。

あからさま不機嫌になる俺にマジごめんとヨウが両手を合わせてくる。

ったく、今回だけだからな。

“不良狩り”で迷惑掛けたって自覚もあるし、渋々折れてはやるけど今回だけだぞ畜生。


「取り敢えず、情報の共有をしたいって交渉してみて欲しいんだ。
向こうも仇討ち戦の時に情報共有を求めていたし。僕達に今必要なのは情報だ。情報共有の交渉をしてみてくれ」


ハジメの漠然とした物の言い方に、俺は肩を竦めてアドレス帳を呼び出す。


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