青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
まったく反省の欠片も見せない矢島と子分達に業を煮やしたヨウは、
「もっぺん勝負してやるっ」
それで事が済むだろう、相手をギッと睨んだ。
「んでもって俺が勝ったら、以降仲間へのちょっかいはとめてもらう。俺に用事があるなら、直談判すりゃいい。俺はいつだって相手にしてやる。姑息な手を使うくれぇなら、正面からきやがれ」
「へえ、言ってくれるな。あんには劣るが女にモテそうな面してるだけはある。まあ、女の扱いはなってなさそうだがな」
ゲッ、それは地雷っ、地雷だぞ矢島!
っ、ある意味ヨウのコンプレックスでもあるのにっ。
何故ならイケメンのクセにヨウ、あー…一応日賀野に女を取られて、失恋してる身の上だから。本人もだいぶん気にしてるんだけど。
俺は隣から漂ってくる怒気のオーラに身を震わせた。
怖い、隣が怖くて見れない、見れないよ。
カタカタと震えるヨウの様子に気付いたのか気付いていないのか、向こう三人は揃って手を叩き、「下手なのか」矢島、「下手なんだ」谷、「下手くそなんだ」川瀬、微笑ましく輪唱。
嗚呼、お前等、ヨウのボルテージがどんどん上昇してっ。
ヨウがダンマリになった挙句、目に見えるほど体を振るわせ始めたものだから、三人もちょーっち不味いと思ったんだろう。
各々アイコンタクトを取った後、矢島は「もしかして失恋したのか?」と質問。ヨウは何も答えず身を震わせるだけ。
ダンマリを肯定と捉えた矢島は、何を思ったか肩に手を置いてヨウを励ましてきた。