青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―

 
「2限目は生物学だったよな。あーあ、メンドクセェ。
ケーイー、今日くれぇ良いんじゃね? ぶらっとどっか遊びに行こうぜ」

「あのなぁ、そうやって欠課が増えると後で苦しくなるだろ? 去年もそれで…、あ…」

 
階段を上っていた俺の足が見事に止まる。


「どうした?」


ちょいと前を歩くヨウが振り返って来るけど、俺は引き攣り笑いで流す。

いや…だってさぁ、階段を下ってきた奴が…、その、なぁ…、1限目に俺のクラスに授業を教えてた担任なんだから、立ち止まっちまうだろ。フツー。


向こうも俺とヨウの姿に気付いたんだろう。

盛大な溜息をついて、額に手を当てていた。



「最初からおサボリしてくれた田山に、途中から抜け出しやがった荒川、お前等何処で何してた。荒川、具合が悪くて保健室に行ったんじゃないのか? なあ?」



うっわぁ、ヨウ、見え見えの嘘をついて授業を抜け出したんだな。俺のためって分かってるから何も言えないけど!

誤魔化し笑いを浮かべて視線を泳がせる俺に対し、「うっせぇな」ヨウは勝気の強気に反論。

2限はちゃんと出ると言い切って段を上り始めた。
その際、しっかりと俺の名前を呼んで。

「あ、待てよ」


俺は急いで段を二段越しに跨ぎ、ヨウの背中を追う。

そして、さっさと疲労顔の前橋の横を擦り抜けた。




「田山」




名前を呼ばれて、ついつい条件反射で足を止めちまった。

ああもうっ、無視してヨウの背中を追えば良いのにっ、体が勝手にっ。


ぎこちなく振り返って担任を見やる。前橋は俺に視線を投げて、微苦笑を零した。


「確かめるが今朝の一件、お前じゃないよな?」
 

ああ、今朝の恐喝事件のことか。

俺は小さく頷いた。
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