青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
「今朝の事件も、昨日の事件も、俺ではないです」
「そうか…、だったらいい。
だが話は終わってない。放課後、俺のところに来い。いいな? お前、昨日も今朝も、話が終わらないまま飛び出しただろうが」
ゲッ、マジかよ。
嫌々頷く俺だけど、顔に気持ちは出ていたと思う。
前橋は当たり前だろうって眼を飛ばし、ふっと真顔に変えた。
「これでいいのか? 田山」
それってどういう…、刹那、脳裏に過ぎる“半端者”って三文字に俺は言葉を詰まらせる。
前橋は聞いてるんだ、中途半端なままでいいのか? って。
俺は1年の頃のように地味じゃなくなった。
わりかし教室では目立つ存在になった。
でもそれは悪い意味でも日向組で…、だからって俺は不良でもない。
俺があの頃のようなただのジミニャーノだったら、きっと大半のクラスメートから一線引かれるような存在じゃなかった。
滅多な事じゃ日向に出ない、クラスでは忘れられやすい存在のままだったんだろうなぁ。
あの頃のままだったらさ。
けどなぁ、俺、もうあの頃の“俺”じゃないんだよ。
普通に学校に通っているクラスメートからして見れば、結構メンドクサイ・関わりたくない日向組の一員になっちまってるんだよ。
―――…もう戻れないんだ。だってさ、今更なかったことにはできないんだ。
「イイも何も、テメェがケイのナニを知ってるんだよ。ケイ、テメェもさっさと来いっつーの。チャイム鳴っちまうだろうが」
どんっと体に衝撃が走った。
んでもって首っ、首を締めっ…、「ギブギブ!」俺は自分の膝小僧を叩いてヨウにギブアップと白旗を振る。
解放された俺はゼェゼェっと息をついて首を回す。
あー苦しかったっ、少しは手加減しろってヨウ。
抗議しようと思ったんだけど、「早くしろって」ヨウは俺の背中を思い切り叩いて階段を上り始めた。