青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
「だぁあっ、腹が立つ!」
正面から来いってんだ正面から!
いっつだって喧嘩かっちゃる!
ヤンヤン喚く浅倉は髪を荒々しく掻いてビリヤード台を一蹴。
新入り達は浅倉の不機嫌に萎縮している様子だが、仲間がやられたらいつも我等がリーダーはああなるため、付き合いの長い者は苦笑いでその場を凌ぐ。
無論、彼の舎弟である蓮も例外ではない。
物に当たっている浅倉に失笑を零し、
「落ち着いて下さい」
宥め役に回った。
同じ舎弟の桔平もヤーレヤレと呆れ顔で宥め役に回る。
一方、副頭の涼は腕を組んで眉をつり上げた。
「怒れたリーダーは置いといてよかけん。取り敢えず、不穏な動きは見過ごしておけなかな。犯人の人相、目的、割れやないんやし、どげんかせな。
ばってん、どげな風な対策を打てば…、こげん事件ちかっぱむかつくっ。な?
(怒れたリーダーは置いてていいから。取り敢えず、不穏な動きは見過ごしておけない。犯人の人相や目的も割れてないんだし、どうにかしないと。
でも、どんな対策を打てば…、こんな事件むっちゃむかつく。な?)」
同意を求められたが、果たして九州弁で話している涼の言葉を何人が理解できたかは謎である。
新入り達は目を白黒させているし、慣れた者は「九州弁になってます」平然とツッコミをかました。
おっと失礼、涼は標準語を意識して更に意見を重ねる。
「お前等も気を付けとけ。
狙いは浅倉チームのようやけん…。どげんな小さい事件でも、なんかあったら自分等に報告しろ。いいな?」