青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
なんとなーく嫌な予感はしてたんだよな、この二人の醸し出す雰囲気からして。
体育館に来るや否や、お互いに不機嫌、無言、無口で俺の両隣に座ってくるんだぜ?
なんかあったって思うのが筋だろ?
ハジメと弥生、恋人になった途端喧嘩が多くなってさ、またクダラナイことで喧嘩したのかなぁって思ったら…これだもんな。
勘弁してくれよ。
嗚呼、最近の俺、ほんとついてないよな。マージついてない。
肩を落としてコロッケを口に放る俺の向かい側で、これまたゲンナリとした顔で痴話喧嘩を聞いている不良数名。
可哀想な俺を見捨ててくれるヨウとワタルさんは、勝手にやってろとばかりにトランプしながら飯を食べてるし。
体育館裏の新入りと言ってもいいキヨタとモトは、能天気に持参しているゲーム機で遊んでるし。
へいへいへーい、どっちでもいいから俺もまぜてくれよ!
此処のポジション、ガチ嫌なんだけど!
思った矢先、「ケイ!」両隣から二つの声が飛んできて俺は身を竦める。ヤーな予感。
「どっちが悪いと思う! やっぱりこのドヘタレだよね?! 私は悪くないよね!」
「ケイ! 被害妄想してる弥生が悪いと思わないかい?! 悪いよね!」
ほら来たよ、俺へのとばっちり。
勝手にやってくれよ、俺はカンケーないだろーよ!
「そうだなー」
生返事を繰り返す俺は、両隣に視線を送って愛想笑い。
物凄い剣幕で睨まれて、俺は笑顔のまま冷汗をタラタラと流した。
此処は男として男のアッツーイ友情を選ぶか、
それともレディを気遣って女の友情を選ぶか、
ははっ…どっちを選んでも地獄だろ。
喧嘩両成敗じゃ駄目か、取り敢えず二人に質問してみるとギッと強い眼光で睨まれた。
な…、なんだよぉ。俺、何もワルイコトして無いのに。してないのにっ!
寧ろ妥当な意見を言ったのに!
喧嘩両成敗だろっ、喧嘩した両方が悪いんだろドチクショウ!
どーせこの後、すぐに仲直りしてイチャラブモードに入るんだろ!
分かってるんだからな!