一途に IYOU〜背伸びのキス〜
風が吹いて、あたしの髪を揺らす。
大人っぽく見えるようにって、巻いた髪。
それが余計に惨めに感じた。
椋ちゃんはいつまでも黙ったままで……。
そんな椋ちゃんに軽くため息をついてから、なんとか笑った。
「……分かった」
小さい頃からずっと見てきたから、分かってる。
椋ちゃんが黙る時は、あたしが傷つくような言葉が返事の時だって。
つまり。肯定。
椋ちゃんは、あたしを好きになる事はないって……。
沈黙が答えてる。
ぐっと歯をかんでうつむいた。