一途に IYOU〜背伸びのキス〜



「11月にある体育祭の実行委員、今日決めるって聞いた?」


通学路を歩きながら、櫻井が言う。
9月3週目の太陽は、やっと夏らしさから解放されたみたいですがすがしい。


「あ、そうなんだ」
「立候補で決まらなかったらジャンケンだとか言ってたけど……咲良、やらない?」
「えっ、実行委員?」
「部活やってないし、今年は特になんの委員会をやってないだろ? だから」


「んー……」って、唸りながら考える。

正直、そういうの面倒くさそうだし、立候補してまでやりたくない。


でも、確かに部活も委員会にも入ってない上、クラスの係りすらしてないし。
立候補しなくても、先生に勧められそうだ。

だったら、大人しく立候補しちゃった方がいさぎいいかも。

きっと忙しいから、気分転換にもなるかもしれないし……。








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