一途に IYOU〜背伸びのキス〜
「じゃあ、立候補する人が誰もいなかったらね」
言った途端、櫻井の顔がパっと明るくなったのが分かった。
「まじで? じゃあ俺も立候補しよーっと」
喜んでる様子の櫻井を、チラって見る。
『俺、今日から本気でいくから』
櫻井が送り迎えを始めたのは、その翌日から。
初めて迎えにきた日に、気持ちには応えられないってちゃんと言ったけど……。
それを聞いても、櫻井は送り迎えをやめようとしない。
櫻井が何を考えてるのかは分からないけど。
顔合わせるたびに断わるのもどうかと思うし、櫻井がそうしたいって言うなら、もう、ほっとく事にした。
どうでもいいって言ったら悪いけど……。
正直、椋ちゃんの事以外どうでもいいっていうのが、本音だった。