一途に IYOU〜背伸びのキス〜


毎日毎日へとへとになるまで頭働かせて走り回って。
椋ちゃんの事を考える隙なんかないくらいに疲れて、爆睡して。


まるで、あの日の事が全部嘘だったみたいだった。

そう思い込みたいだけかもしれないけど……。


別世界にいるような、そんな感じ。

でも、だからこんなにも元気に走り回れるのかも。


「あ、倉森。これ、実行委員から頼まれてたネット。
ボロボロだから新調しただろ。さっき届いたから持ってけ」
「はーい」


プログラム内容を確認してから、印刷部数を記入して担当の先生に渡す。

職員室を出ようとしたところで声をかけられて、緑色のネットを受け取ったはいいけど……。

視界が……なんていうか、全部ネットなんですけど。
全部緑。疲れた目にはよさそうだけど、歩くにはかなりよくない。




< 122 / 342 >

この作品をシェア

pagetop