一途に IYOU〜背伸びのキス〜
毎日毎日へとへとになるまで頭働かせて走り回って。
椋ちゃんの事を考える隙なんかないくらいに疲れて、爆睡して。
まるで、あの日の事が全部嘘だったみたいだった。
そう思い込みたいだけかもしれないけど……。
別世界にいるような、そんな感じ。
でも、だからこんなにも元気に走り回れるのかも。
「あ、倉森。これ、実行委員から頼まれてたネット。
ボロボロだから新調しただろ。さっき届いたから持ってけ」
「はーい」
プログラム内容を確認してから、印刷部数を記入して担当の先生に渡す。
職員室を出ようとしたところで声をかけられて、緑色のネットを受け取ったはいいけど……。
視界が……なんていうか、全部ネットなんですけど。
全部緑。疲れた目にはよさそうだけど、歩くにはかなりよくない。