一途に IYOU〜背伸びのキス〜
「咲良はパパが嫌いか?」
校門で、真顔のパパに言われた。
どうやら、カメラを構えるパパを一度も見なかったかららしいんだけど。
「だって忙しかったんだもん」
「こんな風に咲良の運動会を見にくるのは、五年振りなのに……。
もう二度とこないシャッターチャンスを逃した気分だよ」
不機嫌丸出しのパパの後ろを、保護者や生徒が通っていく。
“生徒は、片付けは我々に任せて、今日は保護者の方と一緒に帰るように”
それも、校長の思いつき。
我々、なんて言いながら、きっと自分は手伝わないくせに。
考えなしの校長の発言を聞いて、先生たちはみんなして嫌な顔してたし。