一途に IYOU〜背伸びのキス〜


「それよりあたし、久しぶりにパパと一緒に写真撮りたいんだけど」


ほっとくといつまでも不貞腐れていそうなパパに言う。

パパをこのまま不機嫌にさせておくと、数日間イヤミを言われるのは確実。
それは面倒だし、避けたい。

そんな思いからにっこり笑って言うと、パパはすっかり騙されて、見る見るうちに笑顔になった。

……あたしがこう言うのもアレだけど。
単純すぎると思う。


本当にこんなんで社長とか務まってるのかが、疑問でしょうがない。

まぁ、こんなパパだから、社員に好かれてるのかもしれないけど。

あたしが、パパを好きみたいに。


「咲良はなんだかんだ言いながら、パパっ子だなぁ」
「……そうかもね」







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