一途に IYOU〜背伸びのキス〜


誤魔化したかったのに、パパの声に止められる。
気まずく思いながら目を合わせると、パパは困り顔で微笑んでた。


「さっきまで、葉山くんも一緒だったんだ」
「……え、」
「葉山くんは直帰するって言ってたから、走れば間に合う」
「なんで……?
だって、椋ちゃんがくる必要なんかないし、理由だってない……」


呟くみたいに言うと、パパは穏やかな顔をして、諭すみたいに言う。


「それは、咲良がそう思ってるだけかもしれないだろう。
本当の理由は葉山くんにしか分からない。
だから、直接聞きなさい」
「え……」


驚いてパパを見る。

だって、直接って……。



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