一途に IYOU〜背伸びのキス〜


「電話か?」
「ううん。メール。……ちょっとごめん」


出鼻をくじかれた思いでメールを確認すると、送信者には“櫻井”の名前。
開くと、打ち上げの誘いだった。


「“19時から俺んちで打ち上げするから。咲良もくるだろ?
今日はこないだみたいな事しないから、ぜひ来てくれると嬉しいんだけど。
絶対、気まずい思いはさせないから!”だって。
送信者は、同じクラスの男子」


わざと音読してから、顔を上げる。
椋ちゃんは、少しだけ顔をしかめてあたしを見てた。

涼しい風が、優しく吹き抜けていく。







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