一途に IYOU〜背伸びのキス〜


それから三年が経った、10歳の時。

周りの友達が、男子の名前を出してキャッキャしてる中、あたしはなぜか同じ学年の男子に興味が持てないでいた。


学年一カッコいいって噂される鈴木くんにも。
学年一足の速い岡山くんにも。
学年一優しい佐藤くんにも。

まったくって言っていいほど、惹かれなかった。


それがなんでなのか自分でも分からなくて、もしかしたら恋愛オンチなのかもなんてそんな不安まで浮かんだりして。

そんな頃、学校の近くで痴漢が多発して、念のために一週間くらい家族が迎えにこなくちゃならない事があった。

いつもはママが来てたけど、用事があって、1日だけ椋ちゃんが学校に迎えに来てくれて。


『咲良』

校門に背中を預けた椋ちゃんにそう微笑まれた時、時間が止まって恋が動き出した。







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