一途に IYOU〜背伸びのキス〜
「……なんで」
「咲良が……道路に飛び込もうとするからだろ……っ」
まだ息が整わない椋ちゃんが言う。
「飛び込まないよっ! そんな事したらパパに泣かれるし、きっと呪われるもん。
……っていうか、なんで飛び込むの?」
「なんでって……」
「もしかして……椋ちゃんに振られたのを気にしてって事?」
「咲良は、昔から自分の気持ちのまま突っ走るヤツだったから……。
それぐらいするかと思ったんだよ」
「……自意識過剰、とは言えないけど。
あれだけ追いかけてたら、そう思っても普通だもんね」
そう言って笑おうとしたけど……。
抱き締める椋ちゃんの腕が気になって、うまく笑えなかった。