一途に IYOU〜背伸びのキス〜

「悪かった」
「ホントだよ！　あたし、すっごくショックで……」
「でも、咲良だって、俺がいつもどんな気持ちで咲良を突き放すような事言ってたのか、分からないだろ」
「え？」


びっくりして聞き返すと、椋ちゃんはわずかに微笑んだまま言う。


「本当は好きなのに、それを隠して、他の男を作れなんて……。
いくら事情があるとしても、嫉妬深い俺にとっては拷問だった」
「……事情？」


好きだなんて不意打ちで言うから、胸がドキドキする。

ときめきすぎてどうにかなりそうな中、それでもなんとか聞いたのに。


椋ちゃんは答えずに違う話題を振る。


「俺の気持ちなんか、とっくに気付かれてると思ってた」
「え……」