一途に IYOU〜背伸びのキス〜


「でも、櫻井、別に悪いとは思わないけどなー。
なんか暑苦しいけど、顔もそこそこだし。
そんな男にあれだけ必死にアピールされたら、ちょっとくらい揺れないの?」


2時間目の体育の授業中。
隣に座るみっちゃんが言う。

目の前で繰り広げられてるのは、バレーボールの試合。


「揺れない。
あたしの一途さを中学の頃から見てきたんだから分かってるでしょ」
「まぁ、そうだけど。
あそこまであからさまにぶつかってきてるのって初めてだから、どうなのかなって」
「同類な感じがして好感が持てるし、一緒にいると楽しいから好きだよ。友達としてなら」
「彼氏としては?」
「あれだけ好きって言ってきてくれるんだから、嬉しいって思わなくちゃダメなんだろうけど……まったく思えなくて。
好きになれないんだからせめて気を使わないとって思うのに、涼ちゃんの事言われちゃうと頭にきてひどい事言っちゃうし」











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