一途に IYOU〜背伸びのキス〜



「私の中で、あれは至上最高に屈辱的だった日だわ」
「屈辱的?」
「そう。付き合ってるなんて言うから、葉山さんも私を想ってくれてるのかと思ったら……。
アンタがいなくなった途端、『ごめん』なんて。一瞬浮かれた自分がバカみたいだった。
葉山さん、一応謝ってはいたけど、心ここにあらずって感じで……。
私、勘がいいから、アンタの事考えてるのが分かっちゃうし、もう最悪」


はぁって大きなため息をつきながら言う須田さん。
ショックは受けてるみたいだけど……意外と元気そうだ。


「それは……ちょっと屈辱的かも。
須田さん美人だからそんな目に遭わされた事なさそうだし。
あたしは、椋ちゃんにずっとそんな扱いされてたけど」
「葉山さん、アンタにベタ惚れじゃない。
そんな男に表面上だけ冷たくされたって痛くもなんともないでしょ」




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