一途に IYOU〜背伸びのキス〜
じっと、ひとりひとりの顔を見てみるけど……。
やっぱり、誰ひとりとしてあたしの中には入り込んでこなかった。
クラスの男子、学年の男子、学校中の男子。
ついでに教師陣も。
テレビの中の芸能人でさえ、椋ちゃんと比べ物にならなくて。
そんなのが七年間も続いてるんだから、みっちゃんが“呪い”なんて言いたくなるのも無理はないのかもしれない。
七年は、長いし。
出会ってからはちょうど10年かー。
10年……あ。
「椋ちゃんももうすぐ誕生日だ」
「いくつになるの?」
「27」
まだ何か言ってる櫻井を無視して聞くみっちゃん。
答えると、みっちゃんに無視された櫻井があからさまに顔をしかめた。