一途に IYOU〜背伸びのキス〜


『まぁ、男同士だしな。
葉山くんが咲良を想っていてくれてるのかもしれない、とは思っていた。
ただ、10才の年の差だとか、勤務先の社長令嬢だとか。
そういう立場の違いは男の方が考えるモノだからな。
咲良の気持ちを受け入れられない理由も分かるから、何も口出ししなかったんだ』
『……すみません。なかなか決断できなくて』


苦笑いで謝る椋ちゃんに、パパは笑いながら首を振る。


『いや、咲良の気持ちに応えないのも、葉山くんの愛情だっていうのは理解していたつもりだ。
ありがとう。咲良の事を、本気で想ってくれて』


にっこりと、優しく微笑むパパ。
ママも同意するみたいに微笑んでいて、和やかな空気が部屋を包んでた。


『って事は、結婚を前提のお付き合いを許してくれるって事?!』
『ああ。葉山くんの事はよく知ってるし、咲良にはこれ以上の男はいないだろう?』
『うんっ! ありがとう、パパ……』
『でも、転勤の話が出てるだろう。それはどうするつもりだ?
まさか、結婚もしていない状態で咲良も一緒に、なんて言い出さないだろう?』




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