一途に IYOU〜背伸びのキス〜
「うわー、もう完全におやじじゃ……」
「櫻井。それ以上言ったら本気で殴る。
っていうか、嫌う。呪う」
「呪……」
ピタって黙った櫻井をキツく睨んでから、視線をコートに移す。
誕生日……今年は何か作ろうかな。
去年は、ケーキを持って、椋ちゃんが帰ってくる前に合鍵で忍び込んでピザを頼んだ。
で、帰ってきたところをクラッカーでパーン!って。
椋ちゃんは呆れながらも笑ってくれたし、ふたりきりの誕生日会をそれなりに楽しんでくれてたと思う。
ただ、クラッカーで散らかった廊下は後で片付けさせられたけど。
短期のバイトをして買ったプレゼントは、ネクタイピン。
結構使ってくれていて、それが嬉しい。
ただ、バイトなんかして社長を心配させるなって怒られたけど。
来週にある、椋ちゃんの誕生日。
今年は何をしよう。
とりあえず、クラッカーとバイトはNGらしいから、それ以外で。