一途に IYOU〜背伸びのキス〜


「……あの?」


見てるっていうか……。
なんか、すっごい見られてる。

……怒ってる?
いや、でも、今までの会話に先生が怒り出すような言葉はなかったよね?

色々と思い起こしながら見てると、先生がわずかに顔をしかめた。


「……おまえ、彼氏いたんだな」
「え、ああ。うん。
だってこれ、一応、花嫁修業なわけだし」


そう答えてから、疑問がわく。

なんで急にそんな事言い出したんだろ。
彼氏がいます、なんて行動、あたししてない……。

って、考えて、一昨日の事を思い出す。
一昨日の……椋ちゃんの部屋での事を。

今から隠しても意味はないと思うけど、見られてるのもなんとなく落ち着かないから、左手で首を隠してみる。

悪い事なんかしてないのに気まずく思うのは、なんでなんだろ。

チラって見ると、先生は真顔のままあたしを見てた。


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