一途に IYOU〜背伸びのキス〜
「じゃあ、あたし帰ります。
ありがとうございました」
今までも、無視される事はあった。
でもそれは、あたしが挑発するような事を言ったりした時だけ。
口げんかのひとつの手段として無視されてた感じだったのに……。
今回は違う。
別に先生が何かで怒ってても関係ないし、どうでもいいんだけど……。
なんかスッキリしなくて、先生の隣から顔を覗き込んだ。
「なんか変ですよね。あたし、何かしましたか?」
聞いても返事なし。
「もしかして呆れて口も聞きたくないとかそういう感じ?
あたし、そんなに要領悪い……」
目が合ったって思った瞬間。
腕を掴まれて、そのままシンクの上に押し倒された。
ステンレス製の机だから、背中がひんやりと冷たい。
先生は、真顔のまま冷たい目であたしを見下ろしてた。
「あの……先生? これ、なんの嫌がらせ……」
「おまえ、やっぱムカつく」