一途に IYOU〜背伸びのキス〜
***
「……あれ?」
ケータイの着信音が聞こえて、身体を起こしてから周りを見渡す。
ぼんやりしてる視界に映ったのは、テーブルに散らばる花。
手の中にも、黄色い花がひとつ。
「あのまま寝ちゃったんだ……」
ずっと握ってたらしい花を見た後、時計を見る。
21時20分。
今までも何度も合鍵使って忍び込んだけど、こんな時間になっても帰ってこない事なんてなかったのに。
部屋を見回しても、椋ちゃんが帰ってきた形跡はなかった。
居眠りしちゃう前と、何ひとつ変わらない。