一途に IYOU〜背伸びのキス〜


「ごめん、寝ちゃってた。今、椋ちゃんち」
『葉山くん?』
「うん。椋ちゃん、今日誕生日だからお祝いしようかと思って待ってたら、そのまま寝ちゃったみたいで」
『だったら連絡のひとつくらい……』
「だから寝ちゃってたんだってば。
それよりパパ、どれだけ部下に厳しい仕事させてるの? 椋ちゃんまだなんだけど! 自分は帰ってるくせに」
『失礼な言い方をするんじゃない。
パパはいつだって部下の事を考えて……でも珍しいな。葉山くんがそんなにてこずる仕事があるなんて』
「こんなに遅かった事なんて今までなかったのに……」


パパも理由を考えてるのか、少しの間沈黙があった。


でも、その後すぐ、

『そんな事よりも、もう21時過ぎてるんだからな』って、思い出したみたいに怒り出す。






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