一途に IYOU〜背伸びのキス〜


そこまでで止めておけばよかったけど、勢いづいた口が止まらずに「アンタみたいな冷血人間じゃないって事」と言ったところで、言い過ぎたかもしれないという考えがすぐに浮かんできた。

自業自得とは言え、今日ここにきてから悪口しか言ってないし、さすがに……。
これじゃああたしもいじめっ子だ。

そう思って、バツが悪いなと感じながらもフォローする言葉を探す。
って言っても、先生の事であたしが知っているのは仕事の事くらいなんだけど。


「まぁでも、仕事熱心なのはすごいと思うけど」


そう切り出すと、先生が私を見る。
先生の目を見ながら話すのは気まずかったから、たまに先生を見上げる程度に視線を合わせながら続けた。


「コンビニデザートのために料理勉強してここまでの腕になったんでしょ?
認めたくないけど、先生の料理ってすごくおいしいし。
先生が作ったデザートなら、あたし、食べてみたいと思うし」



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