一途に IYOU〜背伸びのキス〜


しゃがんだままの先生を睨むように見ながら、椋ちゃんが口を開く。


「気安く咲良に触るな」


静かな口調に威圧感がこもる。
こんな椋ちゃんは初めてで、どうしていいのか分からなくなってしまう。

だけど、ここで関係をこじらせるのは絶対にマズイ。
だって椋ちゃんは来月先生と一緒の仕事をしなくちゃならないんだから。

ここはどうにか椋ちゃんの怒りを鎮めてこの場を離れないとダメだ。

先生は、よっと……と立ち上がると、椋ちゃんに挑発しているような笑みを浮かべた。


「別にアンタのモンってわけでもねーだろ。
意思があって自由に動き回るらしいし」
「あたしは椋ちゃんのものだもん! 自由に動き回るけど、椋ちゃんの傍にしか寄り付かないんだから!
今度あたしに触ったら本気でパパに言いつけるからね!」


ついでに、変態! と怒鳴ってから椋ちゃんを押して教室を出る。
椋ちゃんはそんな私を納得できないって顔で見て止めたけれど、あたしのためだと思って!ってなんとか押し切った。



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