一途に IYOU〜背伸びのキス〜
そして怒った状態のままの椋ちゃんを車に押し込めて自分も助手席に乗り込んだところで、はぁと息をついた。
それから適当に車を走らせてもらって、落ち着いて話ができる場所で止まってくれるようお願いすると、椋ちゃんは訳が分からなそうにしながらもあたしに従ってくれて。
そんな椋ちゃんに、少しは怒りが落ち着いたのかなと思いながら車に揺られた。
椋ちゃんが車を止めたのは、ショッピングモールの立体駐車場だった。
19時って時間帯はそれほど混み合わない時間なのか、1/3くらいが空車状態で気兼ねなく話ができそうだった。
「椋ちゃん。どっちみちバレる事だから言っておくけど」
そう切り出すと、椋ちゃんが運転席から身を乗り出して、真剣な目を歪ませてあたしを見る。
「あいつに何かされたのか……?」
「え、あ、違うよ。されたのは、抱き締められただけで……キスされそうになったけど、金的したから大丈夫だったし。
見てたと思うけど」