一途に IYOU〜背伸びのキス〜


「寝ちゃってて気付かなかったんだからしょうがないじゃん。
いいでしょ、たまには。
いつもはちゃんと門限守ってるんだから」
『すぐに帰ってきなさい。
あー……待て。10分経ったら葉山くんちを出なさい。
葉山くんのマンションの前まで車で迎えに行くから』
「……おめでとうだけ言ってからじゃダメ?」
『おまえが葉山くんを追い回してるのを知ってるだけに、気持ちも分かるが……。
こんな時間まで仕事してるなら、葉山くんだって疲れて帰ってくるだろうから。
日を改めなさい』
「でも……」
『10分後だぞ、いいな』
「……はい」


プツって切れた電話。

ため息をついてから、もう一度部屋を見渡した。








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