一途に IYOU〜背伸びのキス〜
機嫌を直して



先生の正体が、Sフーズの社長息子だって事。
そして、椋ちゃんが担当しているコンビニデザートの手を組む相手が先生だって事。

だから……先生を怒らせるような事を椋ちゃんが言うと、後々マズイって事。

それを聞いた椋ちゃんは、驚いた顔を浮かべた後、「少し考えさせて」と黙った。
そして、ひとつひとつ頭の中で整理したのか、しばらくした後、椋ちゃんはいつも通りの冷静な顔つきに戻っていた。

頭の回転の速い椋ちゃんだから、先生に失礼な事を言ったらマズイだとかそういう事に関してはあたしなんかよりよく分かるハズだ。


「今回の仕事、大きいプロジェクトなんだってパパから聞いてる。
だから……あたしなんかの事で問題起こして欲しくなくて」


沈黙の中そう切り出すと、椋ちゃんは困り顔で微笑んだ。


「仕事を担当させてもらってる以上、俺が会社の顔としてSフーズと仕事をするって事になる。
その俺が問題を起こしたら、会社が問題を起こすのと同じだ。
俺には仕事を順調に進める責任がある」



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